- 挙げる
- あげる【上げる・揚げる・挙げる】(1)より高い所へ物を移動させる。 《上・揚》⇔ おろす「たんすを二階に~・げる」「手を頭の上に~・げる」「船から陸に荷を~・げる」(2)地面や水の中など低い所にあったものを, 空中や水上などの高い所に動かした状態にする。 《上・揚》「原っぱで凧(タコ)を~・げる」「畳を~・げて干す」「網を~・げる」(3)顔や視線など, 下向きになっていたものを上向きにする。 《上》⇔ 伏せる「顔を~・げてこちらを見る」「目を~・げて相手を見つめる」(4)熱した油の中に材料を入れて, 天ぷら・フライなどを作る。 《揚》「天ぷらを~・げる」(5)屋外や土間から人を部屋へ入れる。 《上》「客を座敷に~・げる」(6)人を別の場所に行かせる。
「使いを~・げる」「息子を奉公に~・げる」
(7)自分の子供を学校に入学させる。 また, 進学させる。 《上》「子供が六歳になったら小学校に~・げる」(8)定形のないものやひそんでいたものを, 現れるようにする。 出す。(ア)煙・炎などを, 上方に立ちのぼるようにする。 《上》「真っ赤な炎を~・げて燃える」(イ)大きな声を発する。 《上・揚》「喚声を~・げる」「金切り声を~・げる」(ウ)利潤やよい成果をおさめる。 《上・挙》「多額の利益を~・げる」「好成績を~・げる」(エ)話題となっているものを明確にするために, 名称・事実・例・数値などを具体的に示す。 《挙》「次期社長の候補として三人の名を~・げる」「例を~・げる」(オ)犯人をつかまえる。 証拠などを発見する。 《挙》「犯人を~・げる」(9)低い段階・程度にあった物事を, より高い段階・程度に変化させる。 高める。 《上》⇔ さげる「もっと給料を~・げてもらいたい」「あまりスピードを~・げると危険だ」「ピッチを~・げる」「部屋の温度を~・げる」「位(クライ)を~・げる」「成績を~・げるために家庭教師を付ける」(10)物事を最後までし終える。 完了する。 《上》「この仕事は今月中に~・げてしまわなければならない」(11)(「…であげる」の形で)合算した費用・日数などがその範囲内で済むようにする。「総額一千万円で~・げる」
(12)「与える」「やる」の丁寧な言い方。 《上》「この本, あなたに~・げます」「ほうびを~・げる」(13)神仏に供物(クモツ)を捧げたり, 祈りの言葉をささげたりする。 《上》「お墓に線香を~・げる」「仏前でお経を~・げる」「祝詞(ノリト)を~・げる」(14)妓楼で, 相手を客として中に入れる。「一見(イチゲン)の客は~・げるわけにはいかない」
(15)(芸者を)宴席に呼んで遊ぶ。 《揚》「芸者を~・げて遊ぶ」(16)いったん食べたものを, 吐く。 対象を省略して自動詞的にも用いる。 《上》「船に酔ってすっかり~・げてしまう」(17)〔生まれた赤ん坊を「取り上げる」ということから〕自分の子供をつくる。 儲(モウ)ける。 母親にも父親にもいう。 《挙》「結婚して一男二女を~・げた」(18)(「全力をあげる」の形で)すべての能力を出し尽くす。 《挙》「問題解決のため全力を~・げる」(19)(「…をあげて」の形で)構成メンバーがそろって…するさまを表す。 《挙》「国を~・げて歓迎する」「世を~・げて」(20)結婚式を行う。 《挙》「教会で結婚式を~・げる」「祝言を~・げる」(21)潮が満ちて水位が上がる。「夕方になると潮が~・げてくる」
(22)(補助動詞)動詞の連用形に接続助詞「て」の付いた形に付き, 主語で表されるサービスの送り手が, 他人のためにすることを, 送り手の側から表す。 (普通は仮名書き)《上》「友達に本を貸して~・げた」「お宅まで送って~・げましょう」〔「…てやる」と異なり, 受け手に対する軽い敬意がこめられている。 目上に対しては「さしあげる」を用いるのが一般的〕(23)動詞の連用形に付いて, 最後までそれを成し遂げる意を表す。 …し終える。 《上》「論文を書き~・げる」「一週間でマフラーを編み~・げる」(24)謙譲の意を表す動詞について, その意味を強める。「申し~・げる」「存じ~・げる」
〔上代からの語。 「あがる」に対する他動詞〕︱慣用︱ アドバルーンを~・腕を~・産声を~・得手に帆を~・追風(オイテ)に帆を~・おだを~・男を~・凱歌を~・株を~・気炎(キエン)を~・軍配を~・呱呱(ココ)の声を~・腰を~・尻を~・首(シルシ)を~・棚に~・血祭りに~・血道を~・手を~・床(トコ)を~・名を~・名乗りを~・熱を~・音(ネ)を~・狼煙(ノロシ)を~・旗を~・一旗~・悲鳴を~・兵を~・星を~・神輿(ミコシ)を~・メートルを~・槍玉に~/三日にあげず・諸手(モロテ)を挙げて上げたり下げたりほめたりけなしたりすること。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.